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フリック、タップ、スワイッ!

絶海の孤島であったわたしの掌に、とうとう時代の潮流が押し寄せてきた!
昨日からわたしの手の中に、賢者がお住まいになった。アイフォン5である。

わたしが将来フリックやタップやスワイプなんかをするようになるのを見越していたのであろう。母上様が胎内にいたわたしにこの指を授けてくれた! 生まれ出でた後も、この指がきちんと成長するように、今まで育ててくれた!
成長した指!


フリック、タップ、スワイッ!
フリック、タップ、スワイッ!

時代の潮流がわたしを歓迎してくれているこの感じ!

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2012.11.13 | Comments(3) | Trackback(0) | 今日のMASARU

ナメクジ

 寛容の精神で虫を好き勝手させていたら、屋内が屋外のようになってきたのです。
 今わたしは生態系のなかで暮らしている。そのような実感が、風呂場にいてさえ、ふつふつと沸いてくる!
 おお、地球!

 三週間ほど前から風呂場で挨拶をかわすようになったナメクジが、だんだんと太ってきて! 太るにつれて態度もデカいものへと徐々に改められて! ついに今日! その威風堂々とした姿を風呂のど真ん中にさらし、ぬめぬめとした命を謳歌している!

 わたしは隅っこへと追いやられた格好になった…。
 ナメクジにお湯がかからないようにと、隅っこで禊ぎをすます。
 そのナメクジとは今は挨拶を交わす程度の関係だけれど、これから、友達、親友、恋人、伴侶と、関係が深くなるにつれ、ますますわたしは隅っこへと追いやられるのかもしれない…。
 似たような経験がわたしにはある。

2012.11.02 | Comments(0) | Trackback(0) | 今日のMASARU

嫌われ者たち

 アトリエでみんなで食べていたサクマ式ドロップス。
 昔懐かしい、缶に入ったあれだ。あれってなんだ?あれだ、飴だ。

 缶のふたを開け、中を覗いてみると、嫌われ者ばかりじゃないか。チョコ味が4つ、はっか味が3つ。人為的にそうなったとしか思えん。謙虚な姿勢で運に従っておれば、こうはならん。誰か、嫌われ者を缶のなかに戻しているやつが、きっといる。
 なかには、10回も外へと出てこられたのに、10回とも中へ戻された不運な飴もあるかもしれない。

 わたしは、その手垢にまみれているかもしれない、嫌われ者の飴を、口に含んでみた。
 味覚に、持てる愛の力のすべてを注ぎ込み、味わってみると、それは嫌われ者でありながらも、たしかにうまい味がした。
 わたしは手垢の味を知らないが、かすかに手垢の味もしただろう。それにしたって、うまい。

2012.01.11 | Comments(0) | Trackback(0) | 今日のMASARU

ポテトL

 十五日まで、マックフライポテトが全サイズ百五十円なのである。もちろん、惑溺しやすいわたしの魂は、目下ポテトLに惑溺中である。
 ポテトの香を嗅ぎ、口に放り込む。口の中でも香を嗅ぎ、その香がふんわりと味に変わっていく。狭い咽喉の中を、豊かな風味が下っていくのが感じられる。完全に魅了されている。だらしないほどに欲望をポテトに注いでしまっている。

 ポテトからの自由。魅惑的な食べ物、マックフライポテトから魂を開放するために、「安いうちに飽きるまで食ってやろう」と思い、ほぼ毎日ポテトLを食っているのである。

 そろそろだいぶ飽きてきたと思う。惑わされ続けた我が魂も、目覚めのときが来ようとしているのだ。ポテトがなくとも平然としていられる自分が、未来でわたしを待っている。未来といっても、明日、明後日の未来なのだ。ポテトから自立した、大人の自分は、もう、すぐそこにいる。

 もうしばらくは、あなたとは、会わない。

2011.09.14 | Comments(0) | Trackback(0) | 今日のMASARU

もっと軽々とラッシュ時の地下鉄を乗りこなしたい

 最近、遠出することが多い。それで、遠出をスムーズに、なめらかに済ますためにも、地下鉄を利用することが増えたのである。

 朝のラッシュ時に、軽々と地下鉄を乗りこなしてみたいものだが、わたしの心臓はそれができるほどには毛深くない。いや、それは言いすぎというもので、毛深くないどころか、恥ずかしい話、実のところはパイパンなのである。パイパンの心臓に、通勤ラッシュは、決して相応しくはない。それだけは言える。
 渋面を人と人との間にねじこむようにして乗り込まねばならないのだ。心臓に悪いはずだ。
 
 「偶然にも、乗り込んだ車両の乗客が全員友達だった」というようなことがあれば、このうえなく楽しい、宴会のような、ビバルディー溢れる朝のラッシュとなるのだが。しかし現実はその逆である。全員が知らない人。不思議だ。全員が、わずかに知っている人だという状況があってもいいのに。

 目的の駅に辿り着くまでに、何人の顔を見てしまっているのだろう? 
 乗り物に乗っているときに人々の顔を見てしまう癖が治らないのである。勝手に、人々の疲れ度をチェックしたりしている。
 あの人の疲れは、中の下だ。この人の疲れは上の中だ。その人の疲れは、梅だから、松の人に比べると、だいぶ質の落ちる疲れだ。
 あれこれ勝って気ままに想像している。目が合う。居心地は無論悪い。

 暗いトンネルをくぐり抜けていく地下鉄。窓は、外が真っ暗なせいで、景色を見せることなく、鏡となって車内を映し出す。
 窓に映し出された自分の顔を、何とはなしに眺める。見慣れた顔なので、3秒ぐらいで飽きる。
 荒ぶる魂がそうさせてしまうのであろう、今度は窓に映った美人の見慣れていない顔を、漠然とした目的を持って眺めてしまう。目が合ってしまう。脳が止まる。

 「なんで俺はまた、目が合ってしまうような危険なエリアに、視線を送り込んでしまったんだーっ! バカっ!」

 窓に映った自分の顔に視線を戻す。

 鏡越しに人と目が合ってしまうあの気まずさは何なんだろう? 鏡は気まずさを上手に演出するものだな。
 地下鉄に乗るときには、すべての方向から、顔を背けたい。どこを向いたらいいんだ?

2011.09.06 | Comments(0) | Trackback(0) | 今日のMASARU

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