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万引き犯の心持ち

慌ただしい時間帯にTSUTAYAに来てしまった。レンタルのお客さんが殺到していて、CD売り場のほうのレジは、店員不在…。

CDを購入しようと思っているわたしは、運命的に、待つ格好になってしまった。家康ばりに待つのが好きなわたしは、これまた運命に逆らわずに、待つということに希望を抱いていた。てんてこ舞いになって、高速で右往左往している店員さんたちの生の営みを、愛おしげに眺めながら…。

待ち続けていれば、やがて自分の番はやってくるものだ。鳴くまで待とうと思っていたホトトギスが、ようやくのこと鳴いた。わたしの番が来たのだ。

店員の超絶スピード会計の鮮やかな手際。称賛の眼差しを店員に注ぐわたし。しかし、その眼差しに気づいてもらえることはない。店員は、わたしの眼差しが邪魔になるほどに、忙しいのだ。
と、こうするうちに、華麗にお釣りを渡されて、わたしの番は終わった。

しかし…。超絶スピード会計には、思わぬ落ち度が付きものなのだ。
待つということにくたびれずに、逆に力をもらった気になって、意気揚々と店の出口へと向かったところ…。
「この方は、泥棒でーす」という趣旨の、明るく陽気な電子音。防犯ブザーが、わたしのことを泥棒だと、皆様にお告げしているわけである。

自分は何者なのかという問いを、これまで幾度も自分自身に問うてきたわたし。そこへ、「あなたは泥棒でーす」という機械の叫び。ああ、わたしはきっと泥棒に違いない…。とか、思ってしまうではないか!

すがるような眼差しを店員へ向けてみると、店員は、大丈夫なのでゲートをそのまま通り過ぎるようにと、わたしを促している。当事者同士にしかわからないような微妙な曖昧な仕草で…。

否!今のあなたの仕草、今のわたしにとってみれば、否!
そんな、敵チームにバレないサインみたいなのじゃなくて、ほら、もっと、はっきりこう、「こんなにも泥棒っぽく見えない人、初めて!」みたいなことを周りの人たちに、しっかりと伝えてほしい。ではなくて、「泥棒ではない」ということを周りの人々に分からせてもらいたい。

第1ゲートを通過した。第1ゲート?そう、3メートルほど先には、冤罪目当てのもう一つのゲートが、わたしを待ち構えていたのである。
ああ、わたしはまたここで、大舞台に立つスターよろしくスポットライトを浴びるのだ。

意を決して罠に飛び込むわたし。
鳴りました…。わたしの耳に心地よい警報が聞こえてくる。本日二度目の泥棒確定…。賢い機械のお墨付き…。大泥棒とか怪盗とか、そんなかっこいい泥棒なんかではなく…、ただの万引き犯として認定される。

そして、これまた本日二度目となる、すがる眼差しを、両目の奥からゆるやかに発射してみる。すがられている店員はと言えば…。うっそー、明らかに、無視してるやんーっ!

頼る者のいないわたしは、自分が泥棒ではないことを、自分自身でアピールしていた。
盆踊りの一番の見せどころみたいに、手を斜め前方に大きく突き出している。手には会計済みの商品がぶら下がっている。
君たち!きちんと包装されているのだから、盗んだものではないと分かるだろう!という幼稚な発想。
ああ、もう、こういうときって、自分でも何をやっているのか、分からない。

周りの人々の視線を浴びる。そこに、被害妄想までもが付け加わる。
被害妄想のフィルターを通した人々の視線は、こう訴えかけているようにも思える。
「でも、顔は泥棒だよね…」
それは認めます。

泥棒よろしくそそくさとその場を逃げだしたわたし。
帰ってから、袋からCDを取り出してみると、案の定、商品タグが付いたままであった。商品タグには、こう表示されている。
「このタグはレジで回収しております」

これからは、このタグはすべて、川部がこの身を投げ打って、回収しようではありませんか!
親指を立ててそう誓う。

そんな一部始終でした。


しかし、あの警報の標的になってしまったあとというのは、しばらくドキドキしたままですね。
嫌な感じが続きます。
ある日、UFOがやってきて、この商品タグを体に埋め込まれたらどうしよう?
などというような、突拍子もない妄想に、しばらくは苦しみそうです。

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2014.06.29 | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

自由

 今日は、福岡タワーのアーティストショップ「yokusum」さんへ、納品へ。

 気持ちの良い天気のなかに出てみると、鈍感なわたしにも、春がやってきつつあることが感じられる。
 ああ、とうとう、いらっしゃった!
 ありがたい。
 これから、夏へ向けて、一枚、また一枚と、わずらわしい衣類に別れを告げられる。
 自由!

 表に出てみると、マスクをしている方が、以前よりも多く見受けられる。
 ああ、嫌だ! 空気がばっちい、とか嫌だ!
 年の功のひとつである、鼻毛の増毛。そのおかげで、わたしの場合は、若い人々に比べれば少しぐらいは浄化された空気を吸うことができるのだと、慰めにもならない考えを胸に抱きながら呼吸するのであるが…。
 わたしの数少ない年の功も、pm2.5の前には、蹴散らされそうである。

 これから夏へ向けて、一枚、また一枚と、脱衣していくなかで、マスクのほうは、一枚、また一枚と、重ね着していく必要が出てくるのかもしれない。
 自由!?

2013.03.07 | Comments(0) | Trackback(0) | 未分類

フリック、タップ、スワイッ!

絶海の孤島であったわたしの掌に、とうとう時代の潮流が押し寄せてきた!
昨日からわたしの手の中に、賢者がお住まいになった。アイフォン5である。

わたしが将来フリックやタップやスワイプなんかをするようになるのを見越していたのであろう。母上様が胎内にいたわたしにこの指を授けてくれた! 生まれ出でた後も、この指がきちんと成長するように、今まで育ててくれた!
成長した指!


フリック、タップ、スワイッ!
フリック、タップ、スワイッ!

時代の潮流がわたしを歓迎してくれているこの感じ!

2012.11.13 | Comments(3) | Trackback(0) | 今日のMASARU

ナメクジ

 寛容の精神で虫を好き勝手させていたら、屋内が屋外のようになってきたのです。
 今わたしは生態系のなかで暮らしている。そのような実感が、風呂場にいてさえ、ふつふつと沸いてくる!
 おお、地球!

 三週間ほど前から風呂場で挨拶をかわすようになったナメクジが、だんだんと太ってきて! 太るにつれて態度もデカいものへと徐々に改められて! ついに今日! その威風堂々とした姿を風呂のど真ん中にさらし、ぬめぬめとした命を謳歌している!

 わたしは隅っこへと追いやられた格好になった…。
 ナメクジにお湯がかからないようにと、隅っこで禊ぎをすます。
 そのナメクジとは今は挨拶を交わす程度の関係だけれど、これから、友達、親友、恋人、伴侶と、関係が深くなるにつれ、ますますわたしは隅っこへと追いやられるのかもしれない…。
 似たような経験がわたしにはある。

2012.11.02 | Comments(0) | Trackback(0) | 今日のMASARU

嫌われ者たち

 アトリエでみんなで食べていたサクマ式ドロップス。
 昔懐かしい、缶に入ったあれだ。あれってなんだ?あれだ、飴だ。

 缶のふたを開け、中を覗いてみると、嫌われ者ばかりじゃないか。チョコ味が4つ、はっか味が3つ。人為的にそうなったとしか思えん。謙虚な姿勢で運に従っておれば、こうはならん。誰か、嫌われ者を缶のなかに戻しているやつが、きっといる。
 なかには、10回も外へと出てこられたのに、10回とも中へ戻された不運な飴もあるかもしれない。

 わたしは、その手垢にまみれているかもしれない、嫌われ者の飴を、口に含んでみた。
 味覚に、持てる愛の力のすべてを注ぎ込み、味わってみると、それは嫌われ者でありながらも、たしかにうまい味がした。
 わたしは手垢の味を知らないが、かすかに手垢の味もしただろう。それにしたって、うまい。

2012.01.11 | Comments(0) | Trackback(0) | 今日のMASARU

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